遺贈とは?相続との違い

支援センター長
支援センター長

こんにちは、家族会議支援センター湘南です

遺贈とは・・・

遺言によって相続人や相続人以外の人に財産上の権利義務の全部または一部を、無償で承継することです。

相続は、亡くなられた方の一定の身分関係に当たる相続人のみを対象とするものであり、一方で、遺贈は遺言によって相続人以外にも財産を承継させることができるという点に特徴があります。

今回はそんな「遺贈」について、詳しく解説していきます。

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「遺贈」と「相続」の違い

「遺贈」と「相続」は財産をゆずるという意味ではよく似ています。

ですが財産を受けとる対象が異なります。

「相続」では相続人が財産を受けとりますが、「遺贈」の場合は遺言に記されていれば、相続人でなくても受けとることができ、とくに制限はありません。

人だけでなく、学校や施設など法人でも受けとることができます。

「遺贈」をするには、遺言を作成して、相続人以外の方に財産を譲る旨を記載して遺贈を指定しておけば、死後に相続人以外の方にも財産を承継させることが可能です。

相続はあくまで民法で相続人となった方に財産が承継するのみで、それ以外の方は特別寄与・特別縁故者である極めて限られた場合のみ、財産を受け取れる可能性があるだけです。

これに対して遺贈を活用することで、自身の希望通りに財産を承継させることができるといえるでしょう。

遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」がある

遺贈には、包括遺贈と、特定遺贈2つの種類があります。

この2つの遺贈には、遺贈方法とその内容が異なります。

包括遺贈

包括遺贈とは、財産内容を指定せずに行う遺贈です。

たとえば「全財産をAに遺贈する」「遺産のうち2分の1をBに遺贈する」などとすると、包括遺贈となります。

ただし、その遺産のなかには、借金などのマイナスの資産(負債)が入っている場合もあります。

受けとる側は、その負債も割合に応じて併せて引き継ぐことになるので、注意が必要です。

また、相続人にまじって遺産分割協議に参加する必要があるため、他の相続人との間でトラブルが発生することも考えられます。

特定遺贈

「特定遺贈」とは、あらかじめ遺産のうちの特定のものを指定して、与える遺贈のことです。

たとえば、「Aさんには不動産を、B法人には現金を、Cさんには株式を与える」というように遺言書には記載されます。

特定遺贈の場合は包括遺贈の場合とは異なり、遺言で指定がない限り、負債を引き継ぐことはありません。

遺贈にかかる税金

遺贈すると、税金がかかる可能性があります。

税金の種類は、遺贈は遺言によって財産を譲るので「贈与税」がかかると思われがちですが、被相続人が亡くなった後に発生するので、「相続税」です。

配偶者や一等親の血族以外の人に遺贈すると、相続税が2割増しで加算されます。

たとえば以下のような人は、相続税を2割増しで払わねばならないので注意しましょう。

・兄弟姉妹、甥姪、いとこなどの親族

・代襲相続人でない孫

・姻族(婚姻により出来た親戚)

・親族ではない第三者

また、第三者が遺贈によって受けとることになった財産が不動産の場合には、相続税のほかに不動産取得税が課されます。一方、相続の場合には、不動産取得税は非課税です。


不動産を登記する場合には、登録免許税が必要になります。

登録免許税は、法定相続人は0.4%ですが、受遺者が法定相続人以外の場合には2%と5倍かかります。

遺贈は放棄できる?

遺贈されても財産や負債を引き継ぎたくない場合は、放棄が可能です。

その場合、「包括遺贈」と「特定遺贈」で放棄の方法が異なるので注意しましょう。

 包括遺贈を放棄する方法

自分に対して包括遺贈があった事実を知った時点から3か月以内に手続きをしなければいけません。

もし、3か月が過ぎても遺贈の放棄の申述をしなかった場合には、受けることを承認したとみなされます。


包括遺贈の場合には、相続人と同じ権利や義務をもつことになるので、相続放棄と同じ手続きとなります。

手続きは、相続放棄と同様に裁判所に申述をします。

遺贈があったことがわかる書類と申述書を、遺言者が亡くなった住所地の管轄の家庭裁判所に提出します。

特定遺贈を放棄する方法

遺贈義務者である相続人か遺言執行者に対する意思表示だけで行えます。

期限はありませんし家庭裁判所での手続きも不要です。

ただし受遺者が態度をはっきりさせない場合、相続人が催告することができます。

決められた期間内に回答をしなかった場合には、承認したものとみなされます。

まとめ

相続では、原則、法定相続人にしか自分の財産を遺すことができませんが、遺贈であれば、たとえば孫や兄弟姉妹など、法定相続人ではない親族など本当にゆずりたい相手を指定して財産を贈ることができます。

ですが、遺贈では相続と同じく相続税がかかってしまう、包括遺贈では負債を引き継ぐ可能性がある、などのデメリットもあります。

遺言者としてお世話になった方や団体に遺贈したいなら、トラブルに巻き込むリスクをできるだけ減らすように遺言書を遺す必要があります。

また、もし遺贈を受けとる側になった際には、どういう種類の遺贈なのか、その内容を精査して、相続するかどうかをしっかり検討しましょう。

そう子さん
そう子さん

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