何が変わるの?相続税改正 part2

支援センター長
支援センター長

こんにちは、家族会議支援センター湘南です

前回に引き続き、今回も2023年度(令和5年度)の相続税の税制改正について紹介していきます。

前回の記事では「生前贈与加算延長」についてご紹介しましたね。



今回は「相続時精算課税制度」の改正について解説していきます。

Contents

そもそも、相続時精算課税制度とは?

この制度は簡単に言うと

「生前贈与をする時は2500万円まで贈与税を非課税にしますが、

贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく過去に生前贈与した財産も一緒に相続税を課税します」という制度です。

(※累計が2500万円を超えた場合、超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。)

この制度の由来は読んで字のごとく

贈与の時は贈与税を非課税にしますが、相続の時には、非課税にした分を精算して課税する制度

という意味からきています。

つまり、税金の先送りができる制度です。

また、一度この制度を選択すると、永久にこの制度が継続されます。

通常の生前贈与は110万までしか非課税になりませんが、

その人の財産を減らすことができる為、将来の相続税を減らす効果があります。

一方で相続時精算課税制度は贈与税は2500万まで非課税ですが、

結局全て手元の財産に足し戻して相続税を計算する為、将来の相続税を減らす効果はありません。

なので税金の負担を軽減したいのであれば、相続時精算課税制度を使ってしまうと、二度と110万の非課税枠が使えなくなるので、使わない方が賢明という意見が多くみられる制度でした。

(ただ相続時精算課税制度にはデメリットしかないわけではなく、

将来的に相続税のかかる心配はないが、生前に110万以上の贈与をしなければいけない事情のある人にとっては、相続時精算課税制度が有利です。)

改正されるとどうなるの?

【基礎控除110万円の創設】

▼現在の問題点

現状、相続時精算課税制度には暦年贈与のような基礎控除はありません。

(※年間110万円以下の贈与には贈与税がかからない、というのが暦年贈与の基礎控除です。

もっと詳しく知りたい方は前回の記事を参照ください!)

なので、相続時精算課税制度を選んだ場合、

贈与された金額が1円であっても、対象の贈与者から財産贈与を受けた年には必ず贈与税の申告が必要でした。

▼改正後

今回の改正で、年間110万円までは申告不要とする基礎控除が新設されます。


また、この基礎控除はその後の相続の際にも適用され、
相続税の課税対象は基礎控除後の残額のみ(=年間110万円を超える部分として過去に贈与税の申告をしていた部分のみ)でOKとなります。

今回の改正で相続時精算課税制度のデメリットが多少軽減されますね!

ここで一点注意していただきたいのは

この改正は、2024年(令和6年)1月1日以後に贈与される財産について適用される、という点です。


その為2023年までの贈与に対しては、

現状の「たとえ1円であっても申告が必要+相続税の課税対象」は変わらず適用されます。

「年間110万までの基礎控除」なにが違うの???

年間110万円まで基礎控除される点だけ聞くと、

相続時精算課税制度と暦年課税制度で何が違うの?と混乱する方もいらっしゃるかもしれません。

2つの制度の違いを見ていきましょう。

生前贈与加算の対象になるかどうか

暦年課税制度は年間110万円以下の贈与でも

相続開始前7年以内の贈与は生前贈与加算の対象になり相続財産に加算します。

(前回の改正の記事で紹介した内容ですね!)

一方で相続時精算課税制度は年間110万円以下の贈与は期間関係なく生前贈与加算の対象になりません。

その為、余命わずかなご高齢の方が『子に生活資金を少しでも前渡ししたい』とお考えの場合、相続時精算課税制度がおすすめです。

まだまだお元気で、生前贈与の持ち戻し期間7年よりもまだまだ時間があるという方は、これまで通り年110万円までなら非課税になる暦年贈与の基礎控除を活用して時間をかけて資産を移転させるのがいいかもしれません。

「年間110万円までは暦年課税のような生前贈与加算がない」というのは新しい相続時精算課税制度のメリットの1つです。

(ただし110万円を超える場合は贈与税申告が必要になり、超えた部分に対しては相続開始前の期間に関係なく必ず相続財産に加算する必要がありますのでお気を付けくださいね!)

暦年課税制度には戻れない

一度選択した相続時精算課税制度は暦年課税制度に戻ることができない、という点に改正はありません。

年間110万円までは贈与税がかからず相続税もかからないことに心惹かれて相続時精算課税制度を選択してしまうと暦年課税制度に戻れない点は認識しておきましょう。

今回の改正により相続時精算課税制度が利用しやすくなった反面、

どこまでが基礎控除の範囲でどこからが相続税の対象になるかきちんと記録していないと、いざ相続が発生したときに相続財産に加算する贈与財産の計上漏れや過大計上が生じてしまう可能性があります。

まとめ

税制改正の影響はまだ未知数な部分が多いので、今後の生前贈与は専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。

相続時精算課税制度を使用するのか、暦年課税制度を使用するかの判断もご自身では難しいケースもあるかと思います。

そう子さん
そう子さん

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