こんにちは、家族会議支援センター湘南です
遺産相続では、相続人が特定の期日までに行わなければならない手続きがたくさんあります。
中には、期限を過ぎると相続人にとって損失だったり、思わぬトラブルに見舞われたりするものもあります。
例えば
・受け取れるはずだったお金を受け取れない
・税金が高くなる
など・・・
今回はそういった損失を回避するために、相続人がしなければならない手続きをご紹介いたします。
Contents
大まかな手続き期限一覧
<被相続人の死亡直後>
□死亡届の提出
□火葬・埋葬
□年金受給停止
□健康保険の脱退
□世帯主変更(被相続人が世帯主の場合)
□遺言書の検認(遺言書ありの場合)
<3ヶ月以内>
□相続したくない場合:相続放棄
<4ヶ月以内>
□準確定申告
<10ヶ月以内>
□相続税申告(遺産分割の確定)
<1年以内>
□遺留分侵害額請求(遺留分を侵害されている場合)
<3年10ヶ月以内>
□取得費加算の適用(相続した不動産を譲渡する場合)
<期限はないが急ぐ>
□不動産の相続登記
□預貯金の名義変更
□自動車の名義変更
□契約の更新等(被相続人が賃貸借契約の当事者の場合)
□住民票の除票や戸籍の附票の入手
被相続人の死亡直後に行う手続き
□死亡届の提出
死亡届は、故人の本籍地である市役所や区役所へ提出しなければなりません。また、亡くなってから7日以内に死亡届の提出をしなければなりません(※国外で死亡した場合はその事実を知ってから3ヶ月以内の提出)。
□火葬・埋葬
埋葬、火葬または改葬を行う場合、市町村長の許可が必要です。許可を受けるために必要な書類は「死亡診断書」「死亡届」で、これを提出し許可証を受け取ります。また、死後24時間以内の火葬や土葬は禁止されています。
□年金受給停止
年金を受けている方が亡くなると、年金を受ける権利がなくなるため、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。
□健康保険の脱退
会社員等の方が亡くなった場合には、資格喪失に関する手続きは、基本的に勤務していた会社の担当者が行います。勤務先は、亡くなった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があるため、速やかに勤務先に連絡をしましょう。
国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に「国民健康保険資格喪失届(国民健康保険異動届出書)」を亡くなった方の住んでいた市区町村役場に提出しなければいけません。
□世帯主変更(被相続人が世帯主の場合)
世帯主変更届は、世帯主の死亡から14日以内に、亡くなった世帯主の居住地の市区町村役場に提出をします。死亡届と同時に手続きをするのが一般的です。
□遺言書の検認(遺言書ありの場合)
遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の内容を確認することです。検認は、遺言書が改ざんや隠ぺいなどがされずに開封されたということを証明するために行います。検認が必要になる遺言書は「自筆証書遺言書」と「秘密遺言書」です。
遺言書の検認を行わないと民法に違反していることになり、5万円以下の過料が発生する場合があります。また、遺言書は発見した後、直ちに検認を行わないと相続トラブルなどが発生した際に改ざんや隠ぺいを疑われることがあります。
3ヶ月以内に行う手続き
□相続放棄(相続したくない場合)
相続放棄とは、故人(被相続人)の財産に対する相続権のすべてを放棄することです。すべてを放棄するので預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も破棄する事が可能です。
相続放棄の手続きが可能な期間は、「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。
4ヶ月以内に行う手続き
□準確定申告
亡くなった人の確定申告が必要な場合、亡くなった人の相続人が代わりに確定申告をします。この確定申告を「準確定申告」といいます。相続を認められてから4か月以内に申告しなくてはなりません。また、相続人全員で申告し、死亡した日までの所得控除の計算します。
10ヶ月以内に行う手続き
□相続税申告(遺産分割の確定)
相続税申告の対象となるのは、被相続人から遺産を相続した「相続人」と、遺言等により財産を受け取った「受遺者」です。また、被相続人の住所地を管轄している税務署にて、10ヶ月以内に相続税申告を行わなければなりません。期限を過ぎると延滞税や加算税が課されます。
1年以内に行う手続き
□遺留分侵害額請求(遺留分を侵害されている場合)
遺留分とは、最低限相続できることが保障されている相続分のことをいいます。故人が残した遺言や贈与が原因で、遺産の分け方が不平等になってしまうケースもあります。
不平等な遺言や贈与によって遺留分を侵害された法定相続人は、侵害した人へ遺留分の取り戻しを請求できます。その権利を「遺留分侵害額請求権」といいます。
3年10ヶ月以内に行う手続き
□取得費加算の適用(相続した不動産を譲渡する場合)
相続により引き継いだものを、亡くなった日から3年10ヶ月以内に売却した場合に使える、所得税の特例です。
期限はないが急ぐ手続き
□不動産の相続登記
不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ名義の変更を行なうことをいいます。特に期限はありませんが、相続が発生して不動産を取得した場合は、その権利を登記によって確定しておかないと将来的に相続人同士のトラブルに繋がる可能性があります。
□預貯金の名義変更
亡くなった人が銀行口座を持っている場合には、相続人はその口座の名義変更をしなくてはいけません。名義変更するためには、戸籍謄本取得などの事前準備、銀行への連絡、必要書類の提出といった手続きが必要です。
□自動車の名義変更
車の所有者が故人の場合、相続の対象となります。法律上、相続において自動車の名義変更は義務ではなく、期限も定められていません。しかし、「道路運送車両法」では、所有者が変わった場合には15日以内に手続きをしなければならないとされています。
□契約の更新等(被相続人が賃貸借契約の当事者の場合)
被相続人が居住用の建物を借りていた場合、相続人が継続して住むことは少ないため、相続をせず解約することが多いです。解約すると、以後賃料の支払義務は発生しません。誰も使用しない場合は早急に明け渡し、解約する必要があります。ですが、相続の放棄をしておらず、解約するかどうか伝えていない場合、相続人が物件の明け渡しが終わるまで賃料を払う必要があります。
□住民票の除票や戸籍の附票の入手
住民票の除票とは除かれた住民票のことです。また戸籍の附票とは、本籍地の役所で戸籍と一緒に作成される住所が記載された書類です。住民票の除票の取得は、住民票の取得と同様に、住所地の役所(除票の場合は最後の住所地の役所)で行います。戸籍の附票の取得は、被相続人の死亡時の本籍のあった役所で取得します。
まとめ
相続手続きはやらなければならないことも多く、不安に感じる方も多いかと思います。
必ずしも相続手続きを弁護士などの専門家に依頼しなければ処理できないというわけではありませんが
ご自身での対応が難しく感じられる方は家族会議支援センターに相談してみるのもいいかもしれません。