相続トラブルになりやすい「寄与分」について

支援センター長
支援センター長

こんにちは、家族会議支援センター湘南です

相続人の間でもめる原因の一つに、「寄与分」があります。

寄与分とは・・・

亡くなった親の家業を無給で手伝っていたり、療養介護を献身的に続けていたなど、「特別な寄与」をした相続人に認められ、認められた分だけ多くの財産を相続できるという制度です。

ただし、認められるには高いハードルがあります。

今回は、そんな「寄与分」について解説していきます。

Contents

寄与分が認められる要件とは

まず寄与分の対象は相続人のみです。

内縁の妻は相続権をもっていないので対象外です。

その上で要件があります。

①その寄与行為が被相続人にとって必要不可欠であったこと

例えば被相続人が半身不随になってしまい、人の手を借りないと生活できないため介護をしていたなど、寄与行為がないと成り立たない状況であった必要があります。

②特別な貢献であること

夫婦や親子間で身の回りの世話をした程度では法律上の扶養義務の範囲内であり、「特別の貢献」とは呼べず、身内の助け合いを超えたレベルの特別な貢献でなければいけません。

③被相続人から対価を得ていないこと

単に報酬を受け取るだけではなく、「代わりに不動産を譲り受けた」「お礼として結婚資金を他の兄弟より多くだしてもらった」なども対価と見なされる可能性が高いです。

④寄与行為が一定の期間あること

期間については明確な定めがあるわけではなく個別に判断されることになりますが、 少なくとも3年程度の期間が必要と思われます。

⑤片手間ではなくかなりの負担を要していること

週に1 , 2回手伝っていた場合などは認められないことが多く、具体的には「仕事を辞めた・勤務時間を大幅に減らした」など、自分の生活を崩してまで貢献していた場合が認められます。

⑥寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加に因果関係があること

寄与行為の結果として被相続人の財産を維持又は増加させていることが必要です。

例えば「事業を手伝って売上が増加した」「自宅介護することで介護ヘルパーを雇う費用500万円浮いた」などです。

以上が要件に挙げられており、一つでも欠くと寄与分は認められません。

寄与分の計算

寄与分が認められた場合、実際にどのくらい受け取れるのでしょうか。

判例では数百万円~1,000万円程を中心に幅が広く、寄与の内容によって金額は大きく異なります。

最終的には相続人同士の話し合いや調停でその額が決定しますが、寄与料には目安となる計算方法があり、およその金額はその式に当てはめて算定することができます。

例としていくつか挙げると・・・

①相続人の1人が無償で家業の手伝いをしていた場合
寄与分の額=寄与した相続人が通常受けることができる年間給料額×(1-生活費控除割合)×寄与年数×裁量的割合

②相続人の1人が被相続人の介護をしていた場合
寄与分の額=職業的付添人(看護師・ヘルパーなど)の日当額×療養看護日数×裁量的割合
※裁量的割合とは、被相続人との身分関係、被相続人の状態、専従性の程度などによって判断されます。

寄与分が認められても、相続できる割合が変化するわけではなく、仮にプロのヘルパーに介護をお願いした場合に支払うはずだった金額を基に、介護に要した時間を乗じて計算する方法等が採用されます。

そのため、寄与分の金額は、その相続人の期待に満たない場合がほとんどです。

(※上記の計算式は実際に裁判所などで用いられる算定方法ですが、法律で定められているものではありません。あくまでも目安のひとつとして考えてください。)

寄与分のハードル高さの理由とは

①厳しい「特別の寄与」の要件

上記でも説明した通り、「親の面倒をみている」だけは寄与分として認められません。

実際に寄与分が認められてほかの相続人よりも多く財産を受け取れるまでには、大きなハードルを乗り越えなければいけないのです。

②裏付け資料をそろえにくい

相続が起きたときに寄与分の主張をしたくても、それを裏付けるだけの資料がないためにほかの相続人や裁判官を説得することができず、寄与分の主張をあきらめざるを得ないケースも。

家族に対して特別な貢献をしていると考えている人は、領収書の保管や日々の記録を手帳に残しておくだけでも必要な資料となります。

③感情的な対立を招きやすい

例えば、相続人の一部の人が寄与分の主張をし始めた場合、ほかの相続人はおもしろくないと感じがちで、すんなりと納得して話し合いが進むケースはごくまれです。

他の相続人にとっては自分が受け取る相続分が減ってしまうため、寄与分を認めたがらない人も出てくるでしょう。認めたとしても「できれば寄与分の額を減らしたい」と思うことは自然なことです。

また、被相続人に対する貢献は一見して数字に表れづらいこともあり、「やった」「やらない」の水掛け論になりがちというケースも見受けられます。

④認められても想像以上に寄与分の金額は小さい

もし寄与分が認められた場合、世の中的には、相続できる割合が変化すると思われがちです。

しかし実際には、相続人が本来相続人に支払うべき給料相当分や、ヘルパーらに支払うべき費用を免れた分だけ財産の増加に寄与した、という考え方で計算されます。

その為、寄与分はその相続人の期待に満たない場合がほとんどです。

まとめ

寄与分については、要件に該当するか否かの判断が難しく、また、寄与分の計算方法も複雑であり、相続に関する専門知識がないと算定が難しい場合があります。

実際に寄与分や特別寄与料の請求を検討される際は、専門家にご相談されることをお勧めします。

そう子さん
そう子さん

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